Tasting

コート・デ・バール:シャンパーニュ最南端のピノ・ノワール産地と生産者たちの覚醒

オーブ県に広がるコート・デ・バールは、シャンパーニュ最大級の連続した畑を擁し、ピノ・ノワールを主軸に据えたレコルタン・マニピュランたちが独自のテロワールを世界へ発信しています。

公開日

何が起きたか

シャンパーニュ地方の南端、オーブ(Aube)県に位置するコート・デ・バール(Côte des Bar)が、独自のテロワールを持つ産地として改めて脚光を浴びています。エペルネから南東へおよそ100キロメートル離れたこの地域は、シャンパーニュ・アペラシオン内で最も南に位置する主要サブ・リージョンであり、約7,500ヘクタールという広大な連続した畑を抱えています。

品種の面では、ピノ・ノワール(Pinot Noir)が圧倒的な割合を占め、豊かなボディと果実味を前面に押し出したスタイルのシャンパーニュを生み出しています。土壌はキンメリジャン(Kimmeridgian)石灰岩と粘土が主体であり、南に隣接するシャブリやブルゴーニュの一部と同じ地質構造を共有しています。この地質的な連続性が、コート・デ・バールの個性を語るうえで重要な手がかりとなっています。

なぜ重要か

コート・デ・バールはかつて、マルヌ(Marne)県の大手メゾンへ原料ワインを供給する産地として位置づけられていました。しかし近年、レコルタン・マニピュラン(récoltants-manipulants)と呼ばれる自社栽培・自社醸造の生産者たちが台頭し、単一村落や単一区画に焦点を当てたキュヴェを次々と世に送り出しています。こうした動きは、コート・デ・バールをブレンド素材の供給地から、テロワールを語るにふさわしい独立した産地へと変貌させました。

シャンパーニュ全体のピノ・ノワール生産において同地域が担う役割は大きく、アペラシオン全体の品質と多様性を支える柱のひとつとなっています。

背景

コート・デ・バールの歴史は、長らくマルヌの大手メゾンとの従属的な関係によって規定されてきました。広大な畑から収穫されたブドウや原酒は、北のメゾンへと送られ、ブレンドの一部として消えていきました。しかし、テロワール志向のグロワー運動が世界的に広がるなかで、オーブの生産者たちも自らの土地の声に耳を傾けるようになりました。キンメリジャン土壌が刻む鉱物感と、ピノ・ノワールが醸す豊かな果実味の組み合わせは、今やシャンパーニュの多様性を象徴するひとつの表現として認識されています。

出典

  1. Comité Champagne