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クリュッグ、第174エディションが問いかけるアッサンブラージュの本質

クリュッグ(Krug)が第174エディションのキュヴェを発表した。シャンパーニュにおけるアッサンブラージュの哲学を改めて問い直す機会となっている。

公開日

何が起きたか

シャンパーニュ(Champagne)を代表するメゾンのひとつ、クリュッグ(Krug)が第174エディションのキュヴェを発表しました。これに合わせて、フランスのワイン専門誌『テール・ド・ヴァン(Terre de Vins)』がクリュッグの醸造哲学を掘り下げる記事を公開しました。

なぜ重要か

同記事が中心に据えるのは、アッサンブラージュ(assemblage)に対するクリュッグ独自の考え方です。偉大なシャンパーニュのキュヴェとは、必ずしも個々に優れたワインを足し合わせたものではなく、単独では必ずしも高く評価されないかもしれない「個性あるワイン」を組み合わせることで生まれる、という考え方です。それぞれのワインが持つ強い個性を、調和という形で昇華させる——この逆説的なアプローチこそが、クリュッグのキュヴェに一貫した独自性をもたらしているとされます。

この視点は、シャンパーニュ全体の生産潮流を考えるうえでも示唆に富んでいます。記事は、こうした哲学がシャンパーニュ産地においてしだいに忘れられつつあると指摘しており、クリュッグの姿勢がひとつの対照軸として浮かび上がります。

背景

シャンパーニュのアッサンブラージュは、複数のヴィンテージ、複数の区画、複数の品種を組み合わせる複雑な工程です。多くのメゾンがこの技術を継承していますが、その解釈や優先順位はメゾンごとに異なります。クリュッグが第174エディションという数字を冠してキュヴェをリリースすること自体、各エディションを独立した表現として位置づける姿勢の表れといえます。

今回の発表は、単一のキュヴェの紹介にとどまらず、シャンパーニュにおける「偉大さとは何か」という問いを改めて提示するものとなっています。個々の素材の完成度よりも、組み合わせによって生まれる調和を重視するこの哲学は、醸造における逆説を正面から引き受けるものです。

メゾン

出典

  1. Terre de Vins