Regulation

プリーズ・ド・ムース:シャンパーニュを泡立てる第二次発酵の仕組み

リキュール・ド・ティラージュの添加から瓶内での炭酸ガス蓄積まで、シャンパーニュ(Champagne)の気泡を生み出す第二次発酵の工程を解説します。

公開日

何が起きたか

シャンパーニュの製造において、スティルワインを発泡性ワインへと変える決定的な工程が「プリーズ・ド・ムース(prise de mousse)」、すなわち第二次発酵です。この工程は、糖分と選抜された酵母を混合した「リキュール・ド・ティラージュ(liqueur de tirage)」をベースワインに加え、瓶に封入することで始まります。密閉された瓶の中で酵母が糖を消費し、アルコールと二酸化炭素を生成します。生じた炭酸ガスは外へ逃げ場を失い、ワインに溶け込んでいきます。

この発酵によってアルコール度数はベースワインより約1.2〜1.3ポイント上昇します。また、瓶内に蓄積される炭酸ガスの圧力は約6バールに達し、これは自動車タイヤの内圧のおよそ3倍に相当します。

シャンパーニュの規定では、この第二次発酵は最終的に販売される瓶の中で行われなければならないと定められています。この手法は「メトード・シャンプノワーズ(méthode champenoise)」、あるいは伝統的製法と呼ばれ、アペラシオンの根幹をなす要件のひとつです。

なぜ重要か

プリーズ・ド・ムースは、シャンパーニュを他のいかなるワインとも異なるものにする核心的な工程です。きめ細かく持続性のある気泡と、グラスに注いだときに立ち上る特有のムースは、この瓶内発酵によってのみ生まれます。規定によって製法が厳格に定められていることは、アペラシオンの品質と一貫性を保証する制度的な基盤でもあります。

背景

第二次発酵が完了した後、瓶は澱(おり)とともに長期間熟成されます。この間、使い果たされた酵母細胞が自己融解(オートリシス)を起こし、シャンパーニュに固有のブリオッシュを思わせる複雑な風味をもたらします。気泡の美しさだけでなく、この熟成工程こそがシャンパーニュの香味に深みと個性を与える重要な要素です。プリーズ・ド・ムースから澱熟成に至る一連の工程は、シャンパーニュという飲み物の本質を形作っています。

出典

  1. Comité Champagne