Tasting
ロゼ・アンペリアル:ムニエとサーモヴィニフィケーションが生む第三の道
モエ・エ・シャンドンのロゼ・アンペリアル(Rosé Impérial)は、ムニエを主体とした赤ワイン成分とサーモヴィニフィケーションの組み合わせにより、果実味豊かでタンニンの少ない独自のロゼ・シャンパーニュを実現しています。
何が起きたか
シャンパーニュ(Champagne)を代表するメゾンのひとつ、モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)は、自社のロゼ・アンペリアルが持つ独自のスタイルとその製造手法を改めて提示しました。このキュヴェは、果実味が豊かで色調が鮮やかでありながら、タンニンが際立って少ないという、シャンパーニュ地方においても特徴的なプロフィールを備えています。
その個性を支える技術的な柱は二つあります。ひとつは、赤ワイン成分にムニエ(Meunier)を高い比率で用いること。もうひとつは、サーモヴィニフィケーション(thermovinification)と呼ばれる醸造技法の採用です。サーモヴィニフィケーションとは、ブドウを加熱処理することで果皮から色素や香味成分を効率よく抽出する手法であり、タンニンの過剰な移行を抑えながら鮮やかな色と豊かな果実香を引き出すことができます。
なぜ重要か
ロゼ・シャンパーニュの市場は近年拡大を続けており、各メゾンが独自のアプローチで差別化を図っています。そのなかでロゼ・アンペリアルが示す方向性は明確です。ムニエという品種の選択とサーモヴィニフィケーションという技法の組み合わせは、タンニンを抑制しつつ果実味と色調を前面に押し出すという、一貫した哲学に基づいています。
製造手法の透明な提示は、消費者やソムリエがロゼ・シャンパーニュを選ぶ際の判断軸を豊かにします。スタイルの違いが技術的な選択から生まれることを理解することで、各メゾンの個性をより深く読み解くことが可能になります。
背景
シャンパーニュ地方におけるロゼの製造方法は大きく二つに分かれます。白ワインに少量の赤ワインをブレンドするアッサンブラージュ法と、黒ブドウの果皮を短時間醸し込むセニエ法です。ロゼ・アンペリアルはこれらとは異なる技術的選択を行っており、ムニエの特性とサーモヴィニフィケーションを組み合わせることで、シャンパーニュ地方のロゼとして独自の位置を確立しています。ムニエはピノ・ノワールに比べてタンニンが穏やかな傾向があり、この品種の選択自体がキュヴェのスタイルと深く結びついています。