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ドラピエ エクローズ 2012 を読み解く:オーク製の卵が生んだシャンパーニュ初のキュヴェ
ドラピエの「エクローズ2012」を長文で解説。シャンパーニュ地方初の卵形(ovum)タランソー製オーク樽で熟成された1本で、2026年4月末リリース、16年の構想を経た。アッサンブラージュ、熟成タイムライン、テロワール、リリースサイクル、メゾン背景。
要点
- キュヴェ:ドラピエ エクローズ 2012 — ミレジメ・プレスティージ
- シャンパーニュ初:卵形(オーヴム)のタランソー製オーク樽で発酵・熟成
- アッサンブラージュ:ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%
- 原産:コート・デ・バーのウルヴィル、グランド・サンドレ区画(キンメリッジ期石灰土壌)
- 熟成:卵形樽で約3年(細かな澱とともに)→2015年瓶詰→瓶内10年シュール・リー→2025年4月デゴルジュマン
- ドサージュ:4 g/L(エクストラ・ブリュット)
- 生産量:1リリースあたり約3,000本/3ミレジメに1度のリリース予定
- 発売:2026年4月末
何が新しいのか
シャンパーニュで樽を使うこと自体は新しくない。ボランジェは大半のベースワインを古い半ピエース樽で発酵させ、クリュッグは無数の小樽を抱え、コート・デ・バーのメゾン(ドラピエもその一つ)は数十年来、樽を当たり前のように使ってきた。エクローズで新しいのは、樽の形だ。容器はオーヴム(卵形)のオーク樽で、シャンパーニュ向けの実装はこれが初。製造はタランソー(コニャック)が手がけており、過去10〜15年でスティルワインのカーヴに静かに広がった形式だ。
卵形タンクはボルドー、ローヌ、ブルゴーニュなどでスティルワインに使われてきたが、その理由はシャンパーニュのベースワインにもよく適合する。内側の曲面が、澱とワインの対流をゆっくりと促し、撹拌を行わずに細かな澱を懸濁状態に保つ。容量2,500リットルでは、225Lの小樽に比べて木と液体の接触面比率がはるかに低いため、長期熟成でも樽香はおだやかに留まる。この二つが組み合わさることで、小樽熟成の角張ったエキストラクションを伴わず、ふくよかで丸みのあるテクスチャーが生まれる。
エクローズ以前、シャンパーニュのミレジメ・キュヴェをこの容器で仕立てたメゾンは存在しない。ドラピエは現時点で3基の卵形樽を所有。最初の1基は2010年に到着し、伝統的な金属タガで束ねた板組構成だった。現行世代は外側のタガを廃し、樽板の中に張った内部テンションワイヤーで構造を保つ設計。メゾンによれば、これによりシールがより均一になり、内側の表面もよりクリーンになる。
ワイン
エクローズ2012は、ウルヴィルのグランド・サンドレ区画——ドラピエのモノ・パルセレール(単一区画)のプレスティージ・サイトで、同名のミレジメ・キュヴェ「グランド・サンドレ」を支える区画でもある——を基盤にする。コート・デ・バーはランスから南へ約150 km、キンメリッジ期の石灰岩——シャブリの斜面の地質的な延長線——上にあり、構造のあるフルーティなピノ・ノワールが育つ。
アッサンブラージュはピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。ピノが質感と樽との相互作用を担い、シャルドネが酸の輪郭を形成する。2012年ベースのワインは卵形樽内で発酵、同じ容器でマロラクティック発酵を行い、3年間細かな澱とともに熟成。2015年に瓶詰後、瓶内で10年のシュール・リー熟成を経て、2025年4月にデゴルジュマン。リリース時のドサージュは4 g/L——規格上はエクストラ・ブリュットだが、その水準では甘さを足すというより、フィニッシュを磨くための調整に近い。
評論家の反応は強い。ワイン・アノラクのジェイミー・グッドは2012に97/100をつけ、「スパイス、トースト、わずかな木の香りを伴う複雑で重層的な構成」「ライム、マンダリン、オレンジの皮、構造感もある」と評している。ザ・バイヤーの試飲チームは「ワイルドベリーとヴァニラ、白桃と甘草のヒントを伴うバランスの取れた酸」と表現した。
16年の構想
ミシェル・ドラピエは8代目とともにメゾンを率いており、2010年にタランソー製の卵形樽が届いてからずっとエクローズを構想してきた。最初の樽の発注から、ワインのリリースまでの16年の隔たりは大部分が熟成設計に由来する:卵形樽で3年、その後瓶内シュール・リーで10年——ベース収穫からデゴルジュマンまで最低15年。理屈は、メゾンの他の長期熟成プレスティージ・キュヴェと同じで、シュール・リーは奥行きを足す最も安価な手段であり、レンジ最上位のキュヴェであればその待ち時間に見合うリターンが得られる、というもの。
今後のリリース・サイクルは3ミレジメに1度を予定。条件が許せば2015年が次のリリース候補で、登場は2030年頃の見込み。
メゾン背景
ドラピエはコート・デ・バーを代表する家族経営メゾンの一つ。祖フランソワ・ドラピエが1808年にウルヴィルに居を構え、1152年にクレルヴォー修道院のシトー会修道士たちが掘ったカーヴの上にメゾンを築いた。同じカーヴは現在も稼働中。8世代を経て、メゾンは現在ミシェル・ドラピエとアンドレ・ドラピエの孫世代によって運営されている。葡萄畑は10年以上にわたって有機・ビオディナミ栽培。
フランスの葡萄酒業界の外でドラピエが知られる理由が一つある。シャルル・ド・ゴール将軍はメゾンの最も著名な顧客だった。隣村コロンベ=レ=ドゥー=エグリーズに住んでいた将軍は、自宅ラ・ボワスリーでドラピエを購入していた。メゾンは現在もその名を冠した「キュヴェ・シャルル・ド・ゴール」を製造する。同ラインの他にも、入門のカルト・ドール、モノ・パルセレールのミレジメ「グランド・サンドレ」、亜硫酸無添加の「ブリュット・ナチュール・サン・スーフル」、古品種の「クアトゥオール」(ブラン・ド・カトル・ブラン:アルバンヌ、プティ・メリエ、ブラン・ヴレ、シャルドネ)、そして今回の「エクローズ」がレンジに並ぶ。
入手先
アロケーションは限定的で、2012年リリース全体で約3,000本。専門ワインショップやメゾンの直販チャネルで販売される。執筆時点で、フランス国内の小売価格は「グランド・サンドレ」「シャルル・ド・ゴール・ブリュット・ナチュール」と並ぶプレスティージ最上位帯。フランスのプロ系媒体(ル・フィガロ・ヴァン)および英語圏のプロ媒体(ザ・バイヤー、ワイン・アノラク、ザ・ドリンクス・ビジネス)の試飲レビューはいずれも、本作をマーケティング上の話題作ではなく、技術的・スタイル的に真剣な宣言として位置づけている——開発期間の長さに見合った評価といえる。
次は2015年が見どころとなる。